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3Dサウンドとは。

3Dサウンドとは音が立体的な印象でリスナーの聴覚に訴える機能であり、いろいろな実現方法が提案されている。代表的なのはドルビーラボラトリー社(以下ドルビー社)のドルビーデジタルに代表される、複数のチャンネルを利用した音場再生が代表的ですが、バイノーラル録音のように、スピーカーの数による音場再生ではなく、耳までの音の到達速度や圧力などで3Dサウンドを実現する方法もあります。

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ドルビーサラウンド・ドルビープロロジックについて

基本的にはステレオチャンネルしかないアナログソース音源からサラウンド要素を取り出し、後方スピーカーなどから再生させる方式であり、アナログに処理するか一度デジタル化して処理するかの差はありますが、基本はマトリクスサラウンド(スピーカの結線だけで実現するサラウンド)の延長線にある技術です。

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ドルビーデジタル・DTSについて

これらの方式及びこれ以降の方式は基本的にスピーカーのチャネルを増やしていくことで、音場の定位感や 自然な広がりを実現している。物理的に多くのスピーカーが設置できない場合には、少ないスピーカーで擬似的に多くのスピーカーがあるように計算するバーチャルスピーカーなどの機能を実装しているものも多い。

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頭部伝達関数(HRTF)などを利用したヘッドフォン用の3Dサウンド

バイノーラル録音などによる大量のデータから音場から耳の奥に音が届くまでのパターンを元に、元の音源をデジタル加工処理をして3D表現する方式。通常のヘッドフォンで3Dサウンドが実現できる。もっとも安価な方式。(よって加工後の音は2チャンネルにのみでよい)

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3Dサウンドを実現するための要素

人間が音を感じるほとんどの要素は耳の奥の鼓膜と蝸牛の器官によるものですが、厳密には体全体でも音を聞いている(過去の経験から脳で聞いたといえる)。しかし、ここでは主に主要な耳の機関だけについて考えてみる。鼓膜や蝸牛の構造上、音とは空気振動であり、耳は左右それぞれ1つづつなので、立体音響には2チャンネルあれば機能は果たせるといえる。

具体的には、蝸牛の中で周波数ごとの信号に分解され脳に伝達し、脳の中で過去の経験などと照らし合わせながら、聞くという認識につながっている。よって人間の音による立体認識は、立体でない音も含めて、2つの耳で拾う音の振動だけで実現されていることになる。

そして耳の構造上、空気の振動を両耳から受け取ることで、音の距離や位置などを認識できていることになり、逆に言えばモノラル音では論理的に立体感のある音は難しいと言える。また耳が左右にあることから、上下の音の位置については認識が難しい構造になっています。

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3Dサウンドで注意するべきポイント

音の指向性についてはこのページが非常に詳しい。

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両耳間強度差(両耳間レベル差:ILD = Interaural Level Difference)

ひとつの音源から発する音の左右の耳における強度の差のことをいう。音源が正面より左側にあれば左耳のほうが強く、正面より右側にあれば右耳のほうが強い。

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両耳間時間差(ITD = Interaural Time Difference)

ひとつの音源から発する音が左右の耳にとどく時間の差のことをいう。音源が正面より左側にあれば左耳に先に到達し、正面より右側にあれば右耳に先に到達する。

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用語集

用語概要
バイノーラル録音「ダミーヘッド」という人間の頭を模したマイクを使って、人間の鼓膜に届く音に近いを再現する録音方式。計算などはなく物理的な解決法で立体音響を実現するが、ダミーヘッドの構造は実際に音を聞く人の頭の構造と違うため、立体に聞こえない場合もある
クロストーク問題2本のスピーカーで再生する場合、右のスピーカーからの音は右耳だけでなく左耳にも入ってしまうなど、音場における音の管理が厳密にできない事による、音源の距離感を阻害する問題。ヘッドホンでは発生しない
頭部伝達関数(HRTF)バイノーラル録音でありとあらゆる方向から録音し、それらの座標からの変化データを、元の音に畳み込む(合成する)事で、自由な方向からの3Dサウンドを実現するもの。録音していない方向の場合は、近くの4収録点以上から計算で構築して変化データを作ってから畳み込む。現状はこの方式が一般的。
LFE低音増強(Low Frequency Effect)用チャンネルのこと。映画音響で20〜120Hzの重低音を強調するサブウーファーが用いられ、5.1チャンネル方式でも0.1チャンネルのLFEチャンネルが設けられた。これは人間は低音(低周波数)の方向を認識することが出来ない特徴を生かしたもの
5.1ch前方に3チャネル、左右とセンター。そして後方に2チャンネルに左右で5チャンネル。それにLFEとしてサブウーファーの0.1ch(低音が0.1なのは情報量が少ない低音だけなのと、上記の解説のように低音は場所を選ばないので)ブルーレイでは7.1ch録音できるようになっている。
ドルビープロロジックIIz7.1chの構成+フロントスピーカーの上方に2つのハイトスピーカーを設置して、9.1chで再生するもの。ロロジックIIzのZは、Z軸という意味
中抜け5.1chで発生する、フロントスピーカーと後ろのサラウンドスピーカーの間に生じるリスナーの左右周辺の音の薄さ。後ろから前に車が走り抜けるような場合に分かりやすい。7.1chではほぼ発生しない。
ノーマライズ(音量の正規化)音質(周波数特性や音圧感、歪み量など)が変化しない範囲で音量レベルを最大にする。サウンド中の最大音量が0dB(最大音量)になるように補正する。ちなみに0dB以上にするとレベルオーバーを起こしノイズが発生する
HDMI基本は映像用の端子として普及しているが、HDMIには一緒に、7.1ch,5.1ch,2ch,ビットストリームの音声データも一緒に送付できるため、出力元からHDMIのマルチチャネルに対応した機器に接続し、その後映像だけ分離した形でHDMI出力されるデータをディスプレイに接続することで、HDMIケーブルのみで、3Dサウンドが実現できる。(以前は光ケーブルでの音声伝送が主流だった)

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音の特性

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音は加速できない。

伝播する最初の分子の速度を上げても、音波として空気中を伝わる速度は空気中の分子の熱運動の速さ以上で、伝達されることは無いため、音波の速度は変化しない。よって音波の速度を上げるにはその温度を上げるか、加速したい方向に風を吹かせるしかない。

媒質温度[℃]音速[m/s]
空気(乾燥)0度331.45m/s
海水20度1513m/s
ヘリウム0度970m/s

このように、伝道媒体の違いによって、音波の速度に変化がある。ちなみに、ヘリウムガスを吸って声を出すと声が高くなるのは、この音波の伝達速度の違いを利用している。

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気温によって変化する空気中の音速

分子の熱運動の速さに音速が影響されるということは 空気中での音波は空気温度の上昇によっても速度を増すということになり、音速の温度による算出式がある。乾燥した 0℃ の空気中での音速は 331.45m/s で、1℃ 上昇するごとに 0.61m/s ずつ増加する

speed[m/s] = 331.45 + 0.61 × 温度。

よって、15度ぐらいの陽気であれば、音は 340.5 m/sの速さで空気中を音が伝わる。また、音速と分子の熱運動の速度は下記のような創刊関係がある。

音速=分子の熱運動の速度×1.4638

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伝達する物質によって速度が変化する

上記の表ではまるで、物体の密度が高いほうが音速があがるように見えるが、これは密度ではなく、体積弾性率(記号= K [N/m2])によって、音速は変化する。(ただ、1 パスカル[Pa]は1平方メートル当たり1 N(ニュートン)の力が働いていると定義)

代表的な物質音速(m/s)密度(kg/㎥)体積弾性率(Pa)
空気3431.2931.4x100,000
ヘリウム9700.181.7x100,000
148010002.2x1000,000,000
39409001.4x10,000,000,000
529078602.2x100,000,000,000

体積弾性係数とは、物体が圧縮するとわずかに体積が減る現象を定量的に表した指標で、圧力がPで体積がVの流体にΔPの圧力を加え、ΔVだけ体積が減るとき次の関係が成り立つ。

ΔP=Κ・ΔV/V

このときΚ(大文字のK)を体積弾性係数と呼ぶ。Κの逆数k(小文字のk)は圧縮率と呼ぶ。同じ大文字のKだが、熱力学温度のケルビン(絶対零度は0ケルビン。273.15K=0℃)と誤解無きよう。

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密度が上がると音速は落ちる

同じ物質間(体積弾性率が同じ)で、密度が違う場合は音速は遅くなる。例えば低地での音速と高地での音速は、気圧(空気の密度・圧力)が違うため、密度の少ない高地での音速のほうが早い。1標準気圧(記号atm)=1013.25 hPa。記号h=ヘクトは、100倍。Pa=パスカルは気圧

音速式.png

v = 音速、y = 比熱比(1.40)、Pa = パスカル(気圧)、p = 立方密度

計算例:(1気圧時)

√(1.40 × 101325 ÷ 1.293)= 331.22 m/s

ちなみに気温による空気密度の計算式は、0度1気圧の空気密度が1.293 kg/m3、空気の熱膨張係数が0.003671/Kなので、気温20度の空気密度として。

1.293 / (1+0.003671 * 20度) =  1.2045 kg/m3

となり、気温が高いほうが空気密度が少なくなる。

※1m3=1000L=空気の重さは1.293kg (0度1気圧)

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余談:湿った空気より乾いた空気の方が重い?

空気はほぼ窒素:酸素=4:1の気体であり、窒素分子の質量は1mol28g・酸素分子1mol32gなので、 空気1molは単純計算で1モル28.8g((28x4+32)/5=28.8)となる。それに対し水分子の1molは18g。 また、アボガドロ定数として1molの中に含まれる原子・分子の数は粒子の種類に関係なく一定のため、 窒素分子にしても酸素分子にしても、軽い水分子と入れ替わったら質量が当然軽くなる。ポイントは1molあたりの分子量は一定であること。

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